ブルートパーズについて
宝石やジュエリー業界の著名な専門誌「カラードストーン」誌によると、2000年代初頭よりブルートパーズは世界で2番目に人気のある宝石となりました(不動の1位はサファイアです)。しかしトパーズの人気はさほど驚くものでもありません。トパーズはモース硬度8のとても硬い素材であり、さらにブルートパーズは豊かな色相と魅力的なガラス光沢を持つ美しい宝石だからです。またアクアマリンなど近い色の宝石と比べ、お手頃な価格帯の宝石でもあります。
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しかし同時に、ブルートパーズは多くのバイヤーに誤解されている宝石でもあり、アメリカ国内のブルートパーズをめぐる議論によって買い止まるバイヤーも少なくありません。お客様がブルートパーズを購入するかどうか迷われた際には、正しい情報がお客様の満足のいく決断のお役に立ちます。ブルートパーズについて知っておくべき大切な情報が2つあります。1つ目は、トパーズはとても硬い素材ではあるが、最も丈夫な宝石ではないということ。トパーズは完璧な劈開(へきかい)を持つため、ダイヤモンドと同じように衝撃によって欠けたり割れたりするという性質を示します。そのため強い衝撃を受けないよう保護しなければなりません。
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2つ目は、あなたが市場で目にするトパーズの鮮明な青色は自然に発生したものではないということ。天然のブルートパーズは大変めずらしいもので、そしてとても淡い青色をしています。市場で手にすることのできる鮮明な青色のトパーズは、無色のホワイトトパーズに放射線照射や熱処理といったトリートメントを施したものです。このようなトリートメントによって生み出されたブルートパーズの青色は永続的なものと考えられています。過去にはこのトリートメントの安全面において論争がありましたが、2007年7月、アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)によって、放射線照射処理された平均500カラットの9つのブルートパーズのバッチ試験が行われ、そして健康的なリスクを示す結果は1つとして見つかりませんでした。
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放射線照射には3種類の方式があります。1つ目は、とても淡い青を生産するためのもので、コバルト照射装置でガンマ線を照射するものです。この方式では宝石自体を放射性にすることはありません。2つ目はアクセラレータで電子衝撃を与える方法です。これは「リニアック」トリートメントとも知られており、スカイブルートパーズに見られる青色を生み出します。3つ目は原子炉でトパーズを高速中性子を照射するものです。この方式はロンドンブルーのような深い青を生み出します。放射線照射されたトパーズは残存放射能を持つため、熱処理やカット、研磨が施される前には安全な設備で一定期間厳重に保管されなければなりません。保管しなければならない期間は、リニアックトリートメントが施されたトパーズで数週間ほど、原子炉で曝露されたトパーズで数年とさまざまです。
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消費者だけでなく、カットを施す業者や宝石を扱うディーラーを守るためにも、とても厳格な規定が定められています。2007年7月、アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)は宝石業界へ、現行の規定では放射線照射された宝石を扱う輸入業者はNRCの認可が必要であるとの注意喚起を行いました。アメリカ国内のブルートパーズの輸入者は自身や顧客の安全のため、NRCの認可を保有する会社から証明書の提示を求めています。
NRCは放射線照射された宝石に対し、これらのトリートメントを施された宝石はジュエリーやコレクション用として確かに安全なものであるとの報告書を公表しました。 また、現在NRCは宝石業界と共に、リニアックトリートメントを施されたブルートパーズや原子炉でのトリートメントを施された宝石などを対象とした試験システムの制定に努めています。美しく、そして人気のあるブルートパーズを安全なものであると保証するためにできることは、すべてやるだけの価値のあることです。
- 初刊: 7月-26-2017
- 最終アップデート: 6月-13-2020
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